2014年12月25日木曜日

メモ - iterationの濃度

メモです. Baumgartnerの``iterated forcing''に気になる定理があったのでまとめてみました.
いろいろ議論するには重要な事実だと思うんですけど, 私の目が節穴すぎるのか,
今のところ他の資料で同種の主張を見かけた覚えがありませんでした.


https://drive.google.com/file/d/0B7Cy_2w49szIRG84WHJKSWNyTDQ/view?usp=sharing

2014年12月23日火曜日

proper forcing 学習の記録 -- 3章応用の節その3

前回の続きで, 一応最終回です.
ちょっとハードすぎやしませんかね.

https://drive.google.com/file/d/0B7Cy_2w49szITzdwWDZWaFVRWFk/view?usp=sharing


追記1. (1/11): 細かい修正&正式公開

ちなみに、このShelahの定理に出てきた公理P_1, P_2はcardinal invariantを使って表現することができることが知られています. P_2がd=\omega_1と同値であることは定義からすぐに分かります.
1985年のPawlikowskiの論文``Powers of transitive bases of measure and category''によると、「P_1が成り立つこと」と「add*(N)が\omega_1より大であること」は同値です.
ここで, add*(N)とは,

\min \{ |X| : X \subset {^\omega\omega} かつ \exists A \in N (A+X \notin N) \}(ただしNはnull ideal)

のことです. つまり, add*(N)は「どんなに大きいnull setが与えられたとしても, それを平行移動して軌跡の和がnullでなくなるためには最低でも何回平行移動する必要があるか?」を問うcardinal invariantです.

ここまでの話を整理すると
「特殊な二部グラフの超冪がどんな構造か」という問題には公理P_1を通して
「ルベーグ測度についてどんなことが成り立つか」が関係している
ということが分かります。

2014年12月13日土曜日

proper forcing 学習の記録 -- 3章応用の節その2

前回の続きです. 7行程度で書かれていることですが,
ちゃんと議論しようとするとこのようなことになります.




https://drive.google.com/file/d/0B7Cy_2w49szIMERrNjR3NzB3ZFk/view?usp=sharing

次回に続きます……


追記1: 12/23 bookkeepingに失敗していたのを修正しました.
追記2: 12/25 posetの濃度計算が雑だったのを修正. これについては
http://tjrsfilestorage.blogspot.jp/2014/12/iteration.html
も参照してください.

メモ

twitterで言及していた問題です.
https://drive.google.com/file/d/0B7Cy_2w49szIOGxZLWV4ZklVTk0/view?usp=sharing


私は最初, 収束・発散の定義に戻って証明しようとしたり, 相加相乗平均の関係等を適用できないかと試みていたのですが, どうも上手い評価ができませんでした.
対数を用いて不等式 1-x \leq -log(x) を利用する以外に良い方法は無いように思われます.



2015/3/28 追記:
この命題, Borel-Cantelliの補題(の逆)と呼ばれている命題の別表現だったみたいです.

2014年12月1日月曜日

proper forcing 学習の記録 -- 3章応用の節その1

このパートはいくらなんでも厄介すぎます. 今回記事に出来た分はAbrahamは2ページ程度で終わらせている内容ですが, 簡単だからそうなっているのではなく, 大分書き方もフランクなので, 単に上級者に対する話題提供ぐらいのつもりで書いているのだと思います.
原著の書き方でも, ultrapowerとかモデル理論とかにかなり強い人からしたらすぐ分かることなんでしょうか?



私が解説を試みたところ, 8ページのファイルに膨れ上がりました. ↓

応用の節はまだまだ続きます……
(原著では残り3ページですが膨張すること必至.)

追記1: 12/01 最初の定理の文言修正と, \Gamma_{NS}に対してnon-standardな連結成分の存在の保証を追加

追記2: 間違いを修正. これでconsistentにはなったと思いますが, どうやら途中の議論はもっと単純化できる場所があるとのことなのでそちらも検討して資料にしようかと思います.

追記3: 追記2で言っていたことを実現. $\Gamma_{NS}$はultrapowerによる具体的な構成をされていなくても良かったことが分かりました.
追記4: 気に入らなかった文言を修正.
追記5: 最後のClaim 0.7の証明を修正.
https://drive.google.com/file/d/0B7Cy_2w49szIOG5sdUNRdXptZ2c/view?usp=sharing

2014年11月22日土曜日

proper forcing 学習の記録 -- Axiom A* forcing は{^\omega \omega}-bounding である

Abraham "Proper forcing"の3章に今回のタイトルの内容が主張されているのですが, その証明が書かれていないようなので作成してみました. 決して難しいものではないのでforcingの良い演習問題としても使えるかもしれませんね.

https://drive.google.com/file/d/0B7Cy_2w49szIazRQcXdsSVVMS1U/view?usp=sharing

2014年11月15日土曜日

2014年10月16日木曜日

proper forcing 学習の記録 -- 3章応用の節, 演習問題の解答

Abraham "Proper forcing"の3章に「読者への演習問題として残しておく」として主張されている事実があるのですが, 解答を作成してみました.
MA+¬CHからP_1が導かれることは自明でないと私は思っているのですが, そこがすぐに分かるような人にとってはこの資料を読む意味はあまり無いと思います.


追記 10/26: 衍字の削除
https://drive.google.com/file/d/0B7Cy_2w49szIaWFFRUdsN2lyYmc/view?usp=sharing

2014年10月15日水曜日

proper forcing 学習の記録 -- 修正編 その2

Abraham"proper forcing"3章(応用の節は除く)に修正と解説を施しました.

修正点は以下の通りです:
・各概念の定義を精密化.
・各定理の証明の厳密化.
・以前の資料で指摘したLemma 3.4の仮定の変更.


この章は実際に証明を行っていくと, 複数の半順序, モデル, forcing notionが入り乱れ, またこの章で導入される, 関数のinterpretation, derived sequenceといった概念もかなり複雑で, 細心の注意を払わないと途中で自分がどこで何をやっているのか分からなくなる危険性が非常に高いです.

そういったわけで, その点で誤解を生まないような解説にも力を入れてみました.

追記10/20:
Lemma 0.9で使用した記法に関する説明のタイミングを修正.
main theoremの証明の最後に少し補足説明追加.

追記10/27:
原著Lemma 3.4にあたる補題において,
・仮定を強化(the properness extension lemmaを用いるのでproper forcingのiterationで考えなければなりません).
・表現を一部修正(可読性はそんなには変化していないと思われます).
・最後の部分の議論に欠陥があったので大幅に修正(今回の一番のポイントです).

追記10/29:
誤字脱字訂正.
https://drive.google.com/file/d/0B7Cy_2w49szIZFZGZF9NS2R0X28/view?usp=sharing

2014年9月24日水曜日

proper forcing 学習の記録 -- Introductionの章について解説

Abrahamの"Proper forcing"のIntroductionの章は、その時点で既に、初学者にはそこそこ難しい内容がいくつかあるように思われたので、そういったいくつかの命題に証明や考察をつけてみました。3章の内容にも少し関わっています。

https://drive.google.com/file/d/0B7Cy_2w49szIWXdlaDlaa0xSalk/edit?usp=sharing

2014年7月13日日曜日

proper forcing 学習の記録 -- 修正編 その1

数日前にtwitterで言及したのですが、Abrahamの"Proper forcing"において、proper forcingのiterationと\aleph_2-chain conditionに関する定理の証明にどうしても納得できなかった点がありました。そして、それを解決する方法が分かったのでブログ記事にしました。

追記: 1回修正しました。
(I_4をとる前にI_3を\omega_2に整列していたが、それだと証明中の記号の使い方が整合性を失うことになっていた。)

追記2 : ファイルに追加はしませんがやはり気になったので少しremarkをしておきます。
Thm2.12の証明の修正方法についての概要です。
大筋は元のままでよく、そこで2.10と2.11を適用できるようにモデルの取り方を限定する必要があるというのはファイルに書いた通りです。ここでさらに、Thm2.12におけるxがhの不動点となるようにもすればOKです。そしてそれは2.10の証明中で行ったiterationをhの不動点にするトリックと全く同様にできます。

ところで、この証明には2.11の最後に書いてある"Hence any (M_1, P_\mu)-generic condition is also (M_2, P_{h(\mu)})-generic." という主張を使うことになるのですが、2.10, 2.11の設定の下でもこの主張は成り立たないように思われます。それでも\mu=h(\mu)の場合には成り立ち、2.12の証明にはその場合のみを用いるので問題なく証明は通るはずです。

追記3: 最初は成り立たないと思っていたのですが、どうも成り立つようなので その証明も追加しました。

追記4 : ゼミ発表を通して発覚した問題点に対応しました。
自主的な修正は正真正銘これで最後です。↓
https://drive.google.com/file/d/0B7Cy_2w49szIUnJJVHRQa19fUU0/edit?usp=sharing

2014年6月10日火曜日

人の字問題

先日Twitterで言及されていた問題に対して考察しましたのでその成果をここに上げておきます。

https://drive.google.com/file/d/0B7Cy_2w49szITVd3eUhMaGdQZHM/edit?usp=sharing


追記 : 1回修正しました。

2014年5月9日金曜日

proper forcing 学習の記録 --資料紹介編 その2

1-1. Proper forcing / Uri Abraham (補足)

前回の補足です。当資料では projection の概念は2つ定義されていて、普通の projection と stronger version の projection が定義されています。しかし、当資料で単に projection と言ったときにそれが暗に stronger version の方であることを仮定しているような書き方が見受けられます。(そう仮定するという明示的な説明はありません。)

しかしながら、実のところ、この2つを厳密に区別して管理しなければならないかといえばそうでもないのです。
ZF ぐらい十分強い公理系のモデルに forcing を適用する場合には、いかなる forcing poset も完備ブール代数に稠密に埋め込めて、埋め込んだブール代数(完備化)と元の poset は forcing の意味において同じ(得られる強制拡大達が同じになる)という定理は良く知られています。(これについてはKunen 本等を参照してください。)

実は、Q と P が forcing poset であるとして Q から P に projection がある場合、Q の完備化 から P の完備化への strong projection が作れるのです。
また、P と Q を完備ブール代数としたとき、P から Q への complete embedding が存在することと Q から P への strong projection が同値になります。
(ここらへんのことを証明するには前回言及した分に加えて Kunen 本 VII 章演習問題 [C8] が多少は参考になると思います。)

つまり、結局 strong projection に関してだけ理論的な面倒を見ればとりあえず実用上は困らないということになるわけです。


2. Proper and Improper forcing / Saharon Shelah

proper forcing の生みの親である Shelah の本です。Abraham の proper forcing でも引用がなされているのでこの資料を手に取るのは必然かと思われます。
しかしこの本、その分厚さの割に索引が存在しません。


証明の筋道は参考になったりするのですが、書いてある通りの証明を再現しようとすると上手く行かないかもしれません。
そういうところは、「Shelah の言わんとするところが理解できれば良しとする」というスタンスで読むのもありだと思います。

必要でいろいろ参考にはなるんだけど、教科書的には扱いにくい資料、といった印象を受けた資料です。


3. Elementary submodels in infinite combinatorics / Lajos Soukup
http://www.math-inst.hu/pub/setop/otka61600/elementary_submodels.pdf

Abraham の資料に従って proper forcing を定義し、定理を証明していくには elementary submodel の概念を知らねばなりません。
しかし Kunen 本には elementary submodel を使った議論をフィーチャーしたセクションは存在しませんでした。(新版の Kunen 本:Set theory (2011) にはあります。)
なので、私がそうだったように「強制法を知っていても elementary submodel ってどんな風に使うのか知らない」という人も多いのではないでしょうか。

この資料はまさにそういった人向けの資料です。


4. Set theory / Jech

Kunen 本についで有名な本。なのではないでしょうか。
この本では proper forcing は stationary set の概念を用いた方法で定義されています。
(そもそも、Shelah 本でも proper forcing はこっちの定義で導入されているものでした。)
結局は、Abraham の section 2.3 でその定義が elementary submodel を使った定義と同値であることが証明されることになるのですが、Jech 本での議論もそれはそれで参考になります。
また、Axiom A の定義も Abraham の資料で導入されている定義と異なり、それらが同値な定義であることはそんなに難しくないので、良い演習問題となると思います。



とりあえずこれで予定していた資料紹介は終了です。
3番の資料以外は手に取る必然性のあるものばかりでしたね。

2014年5月3日土曜日

proper forcing 学習の記録 --資料紹介編 その1

近頃、私は proper forcing と呼ばれている強制法を習得すべく学習しているのですが、初っ端からいろんな壁にぶち当たりました。
そこで特に心に残った点についていろいろ記しておこうと思います。
今後 proper forcing を勉強し始める人の何かの役に立てば幸いであります。
(まあ、新発見的なことは多分発生しないので、使う資料の参考とかにしてもらえれば。)


・proper forcing を学ぶための良い資料
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何事も学び始めるには何か良い教科書が欲しいものです。
しかし、proper forcing の勉強には「これ一冊あれば十分!」と呼べるものは無いように思われます。
「いや、それ他の勉強でもそうだろ」と言われればそうなのですが、ここで私が比較対象に考えているのは集合論の入門書として呼び声の高い Kunen の Set Theory (1980) (以下、Kunen 本と呼ぶ)です。
そもそも、proper forcing 自体が強制法の発展的な話題であるので、それについての指南書は当然読者に必要な知識を仮定するでしょうし、入門書のように書かれることは期待するべくもありません。
とはいえ一方で、何が必要であるかは勉強してみなければ分からないものなので、読者が必要な知識を全て持っているということも、ほとんど起こりえないことでしょう。

つまり、そうなると必然的に「いくつもの良い資料を漁って必要な知識を補充しながら学ぶ」ことになりますが、それをするためにはまずは良い資料の存在自体を知らねばなりません。
そこで、私が参考にしている、または参考にできたと感じた資料を紹介していきたいと思います。
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0. Set theory (1980) / Kunen

先ほども触れたのですが、これは言うまでもないというか、必須というか。
私はしばしばこの本の内容を当然のように引用しますので、一応は改めて言及しておきます。
集合論の入門書として呼び声の高い名著。
私は「物を数える数は1から派」ですが、今回紹介する本質的な参考資料というわけではないので0番目としました。


1. Proper forcing / Uri Abraham


Handbook of Set Theory の中の一章です。私はこの資料をベースに proper forcing を学んでおります。
この資料は良い資料であると先生方が仰っておられたのですが、それは先ほども触れたように「入門書として使える」ということを意味しません。それどころか、Introduction では証明無しに触れられている事実が非常にたくさん出てきます。そしてそれらの証明も決して自明というわけではありません。そのあたりの証明をしっかりやりたい人にはそこが最初の壁として立ちはだかります。

また、初歩的な注意として、この資料では forcing notion の順序が一般的なものとは逆になっています。これは Shelah 等が使っている流儀で、強い condition を大きい方と見なしているので注意です。

Introductionを勉強するなら是非とも Kunen 本の VII 章演習問題[C7], [D3], [D4], [D5]を見ておいてください。
Kunen 本訳者である藤田先生による演習問題の解答集作成プロジェクト
http://tenasaku.com/academia/answers/ (みなさんも参加しませんか? これ。)
に当該問題の解答がありますので、上手に活用させてもらいましょう。

[C7]は一見関係なさそうですが、実は projection の定義に大いに関係があります。
[C7]にはA-包という概念がでてきますが、これは stronger version の projection の性質を満たします。また、c \leq h(b) が成り立つとき、h(i(c) \wedge b) = c が成り立ちます。
stronger projection の定義に出てくる c + b はこの文脈では i(c) \wedge b のことに他ならず、A が B に最初から完備包含されていれば + は \wedge に完全に対応していることになるわけです。
(おそらく + はそれを踏まえた上で定義された記号でしょう。\wedge だから × のほうが対応してそうなのですが、ブール代数と逆順序になっていることまで踏まえているものだと思われます。)


長くなったので今回はここまで。他の資料は次回以降に。

2014年4月12日土曜日

Kunen本 VII章 演習問題 [F4], [F5], [H2] 感想戦

[F4]はタルスキによる有名な結果. 自力で解ききるのは難しいかと.


[F5]は気づいてしまえば何も難しいことは無い問題.
和因子の各反鎖に, 0列に関する小細工がありますが, これは
全ての反鎖の和を取ったとき全体をちゃんと反鎖にするための工夫です.


[H2]の解法は, 強制法ではよくあることらしいのですが
解法を知った時は狐につままれたような気分でした.
「強制拡大の c.u.b. 集合のゴースト(とでも言うのか)が基礎モデルで作れる.
そしてそいつは c.u.b. 集合であるからどこかで定常集合と交わる.」

言われてみれば確かにそれは自然な解答と考えられます.
半順序がκ-閉ですから, 長さ κ 未満の列は保存されているのです.
かといってそいつらをまとめる関数が基礎モデルにはあるとは限らないので
「和を取って強制拡大の c.u.b. 集合を基礎モデルで得る」なんてことはできません.
しかしながら, 定常集合と c.u.b. 集合が交わるのは必ずκ-未満の場所であるわけで,
強制拡大のフルの情報が本当に必要であるというわけでも無いわけです.
強制法はその微妙な間隙を突くことができるというわけです.

2014年4月10日木曜日

Kunen VII章 演習問題 [D4], [D5] 感想戦

[D4], [D5] ともにヒントがあるので比較的解きやすい問題.
しかし, 補題7.5が使えることを察知しないと
強制拡大が等しいことを証明するところで詰まると思います.

また, [D5]では極大原理と系3.7(d)を使う場面があります.
この2つは強制法に関する議論では基本的な定理なので,
是非とも自由に使いこなせるようになっておかねばなりません.



ちなみに, この問題では完備埋め込みと反復強制の関係を説明しているわけですが,

Uri Abraham 著の proper forcing
http://www.cs.bgu.ac.il/~abraham/papers/math/ProperFinal2.pdf

では完備埋め込みの代わりに projection という概念が反復強制の話にかかってきます.
この projection は 完備埋め込みの "双対" のような概念であり,
[D4], [D5] の結果が, 完備埋め込みの代わりに
projection で議論して考えた場合も成り立つという事実が証明なしに登場しています.
(p.8 とp.9を繋いでる段落です.)

証明は[D4], [D5] と同様の方針でできるのですが, それなりに曲者で苦労しました.

2014年3月24日月曜日