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2015年10月18日日曜日

Kunen本 VII章 演習問題 [H16], [H9], [D6] 感想戦

[H16]: 定理8.4や[B6]の解答を見れば, この定理にはしょうもない反例があることはすぐに察知できるでしょう. そういったしょうもない反例を除けば正しい定理です.
後はできそうなことをやっていけば、なんだかんだで解けるんではないでしょうか.
最も難しかったのは問題の意図に沿うであろう適切な仮定を決めるところでした.

[H9]: \mathbb{P}がc.c.c.を満たすことを考慮すると, diamond minus-列の作り方はほぼ一択, これしかない……のですが, 最初にこれを試そうとするとき, 躊躇するはずです. というのも, diamond-列はM[G]の元であり, その要素はMには存在しないかもしれません. そうなると\mathcal{B}_\alphaが空集合となるような\alphaがたくさん存在してしまうことも十分ありえる……と考えられるからです. でも, 実際にはそんなことはありえません. というのも, 有界な集合はどれもdiamond-列に定常回出現するからです. M[G]のdiamond-列ならなおさら, Mの有界な集合をすべて取り込んでいるわけです.

[D6]: 私をずっと苦しめていた問題. ある先生のヒントからとどめを刺すことができました. この問題最大のポイントは\mathcal{I}がset-completeであるということ(補題2)でしょうか.
もう一つ厄介なポイントは, 上限をM内で定めるところでした. 上からのガバガバな評価しかできなくて一時期諦めました. forceするconditionの埋め込みでカットするってのに気づくことさえできていれば, 全て自力でできていたのでその点は無念です.

2014年4月12日土曜日

Kunen本 VII章 演習問題 [F4], [F5], [H2] 感想戦

[F4]はタルスキによる有名な結果. 自力で解ききるのは難しいかと.


[F5]は気づいてしまえば何も難しいことは無い問題.
和因子の各反鎖に, 0列に関する小細工がありますが, これは
全ての反鎖の和を取ったとき全体をちゃんと反鎖にするための工夫です.


[H2]の解法は, 強制法ではよくあることらしいのですが
解法を知った時は狐につままれたような気分でした.
「強制拡大の c.u.b. 集合のゴースト(とでも言うのか)が基礎モデルで作れる.
そしてそいつは c.u.b. 集合であるからどこかで定常集合と交わる.」

言われてみれば確かにそれは自然な解答と考えられます.
半順序がκ-閉ですから, 長さ κ 未満の列は保存されているのです.
かといってそいつらをまとめる関数が基礎モデルにはあるとは限らないので
「和を取って強制拡大の c.u.b. 集合を基礎モデルで得る」なんてことはできません.
しかしながら, 定常集合と c.u.b. 集合が交わるのは必ずκ-未満の場所であるわけで,
強制拡大のフルの情報が本当に必要であるというわけでも無いわけです.
強制法はその微妙な間隙を突くことができるというわけです.

2014年4月10日木曜日

Kunen VII章 演習問題 [D4], [D5] 感想戦

[D4], [D5] ともにヒントがあるので比較的解きやすい問題.
しかし, 補題7.5が使えることを察知しないと
強制拡大が等しいことを証明するところで詰まると思います.

また, [D5]では極大原理と系3.7(d)を使う場面があります.
この2つは強制法に関する議論では基本的な定理なので,
是非とも自由に使いこなせるようになっておかねばなりません.



ちなみに, この問題では完備埋め込みと反復強制の関係を説明しているわけですが,

Uri Abraham 著の proper forcing
http://www.cs.bgu.ac.il/~abraham/papers/math/ProperFinal2.pdf

では完備埋め込みの代わりに projection という概念が反復強制の話にかかってきます.
この projection は 完備埋め込みの "双対" のような概念であり,
[D4], [D5] の結果が, 完備埋め込みの代わりに
projection で議論して考えた場合も成り立つという事実が証明なしに登場しています.
(p.8 とp.9を繋いでる段落です.)

証明は[D4], [D5] と同様の方針でできるのですが, それなりに曲者で苦労しました.